狂い咲きシネマロード

哀しきアラサーリーマンの映画と漫画と愚痴。映画も漫画も古い物やマイナーなものが好き。たまに最新映画。勝新信者、渡瀬恒彦ファン。

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失われた世界 「トカゲ特撮」映画

恐竜映画『バート・I・ゴードンの恐竜王』を観た。
バート・I・ゴードンといえば『戦慄!プルトニウム人間』だの『マッドボンバー』だの、見世物的B級映画の巨匠。
この『恐竜王』はキャリアの初期に位置する所謂”トカゲ特撮”を用いた映画だ。
いやいや、”トカゲ特撮”なんて久しぶりに観たなあ。

”トカゲ特撮”とは、本物のトカゲやワニを”恐竜の体”で撮影した映画のことで、その鑑賞にはリテラシーを要する。
特撮ファンには知られた手法だが、現代の基準ではガッツリ動物虐待であるためもはや制作不可能。
カタギの人間は死ぬまで目にすることなく一生を終える映画群だ。

『紀元前百万年』(1940)

金字塔は『紀元前百万年』だろうか。
ハリーハウゼンの名作『恐竜100万年』のリメイク元だが、コマ撮りではなく”トカゲ特撮”が主となる。
クマ・大蛇・ゾウ・ヒレ付きワニ・オオトカゲ・イグアナなどが登場。
見せ場であろうワニvsオオトカゲは、本物にヒレをつけただけのかわいそうな状態で戦わされていて、それなりに貴重な映像ではある。
恐竜らしい恐竜はトリケラモドキとティラノモドキだが、ここは着ぐるみ撮影のため、2m弱の絶妙なミドルサイズ恐竜が原始人と対決する。

『宇宙からの暗殺者』(1954)

ビリー・ワイルダーの兄によるC級SF。
DVDジャケットに「ゴミ映画の決定版」などと書かれていて身も蓋もないが、色々と見どころはある。
核実験によって巨大化した爬虫類や昆虫が主人公を襲うという内容。
ゴキブリ・バッタ・蜘蛛・トカゲ等が登場。
バトル的な要素を持たせたかったのか、たまにトカゲが蜘蛛やサソリを襲って食ったりしていた。
”トカゲ特撮”の中でもチープな部類だが、ゴキブリのドアップはシンプルゆえに破壊力あり。
後半には侵略宇宙人が登場するが、一度見たら忘れられないインパクトで一見の価値あり。

『恐怖の獣人』(1958)






この『恐怖の獣人』は中々の異色作だ。
着ぐるみグマ・流用丸出しトカゲ特撮・飼育犬を連れてきたのかフワモコの野犬たち…
特撮自体に見所はないが、当時のアメリカ恐竜特撮における「恐竜と原始人が同時代にいる」という説明無用の基本設定に対して、一応のアンサーを突きつけている。
主演ロバート・ヴォーンに加え『海獣の霊を呼ぶ女』に出てきた海獣さんもゲスト出演して盛り上げる。

『大蜥蜴の怪』(1959)

原始時代や異世界を舞台にすることで、ミニチュアを使わず安く合成するのがこういう”トカゲ特撮”の常套手段だが、珍しく現代の田舎町が舞台なので、跨線橋や家屋を破壊したりとミニチュアと絡むシーンも多い。
どってことないC級怪獣映画だが、撮影に使われているトカゲがズングリしていてかわいい。
基本的にはノシノシ歩くトカゲの導線上にミニチュアをあてがってるだけなので、破壊シーンでも「?」みたいな反応していてプリティ。
体育館に穴を空けるシーンで、ミニチュアの破片が痛いのか鼻先を少し突っ込んだだけでスゴスゴ帰っていく姿が哀愁。最期も何だかかわいそう。

『地底探検』(1959)

この『地底探検』なんかはカラー映画、かつ上映時間129分と大作だ。
本物のオオトカゲに無理矢理ヒレを付けているのはいつものことだが、大量に登場しては主人公たちの槍で刺殺される。
おそらく本当に殺していると思われ、他のトカゲ達がガチで屍肉を食らっている。
ラストは着色料で染められたらしき赤オオトカゲが登場し、下をチロチロしているうちにマグマに飲み込まれる。
作り物のマグマながらも湯気が立っていたが、熱湯をぶっかけていないことを祈る。

『恐竜100万年』(1966)

これは説明不要、レイ・ハリーハウゼンの名作だ。
”コマ撮り”も“トカゲ特撮”も説明不用に入り乱れる感じがたまらなく贅沢。
単体でも名作だが、『時計じかけのオレンジ』で映像が流用されたことでキューブリックという強大なケツモチを得たことにより、その地位は不動のものに。

『バート・I・ゴードンの恐竜王』(1955)

そして今回、初めてこの『バート・I・ゴードンの恐竜王』を観たのだが中々パンチの効いた一作だった。
ワニ・巨大カマドウマ(?)・ニシキヘビ等の前座恐竜で間を持たせている中、満を持して恐竜王(無理やり角をつけられたイグアナ)が登場。
(主人公が「ティラノザウルスに似ている」などと主張していたが微塵も似てないし、だったらなぜ角をつけたのか)
このイグアナが『紀元前百万年』よろしくワニと戦わされるわけだが、当然ワニの方が強い。
「デスストローク」をくらって血だらけのイグアナが痛々しいが、何故か編集でイグアナが勝ったことにされている
その後、オオトカゲと連戦してまたも”恐竜王”が勝利。
その後も巨大アルマジロ・巨大バッファロー・マンモス(本物の象に毛を取り付けている)・巨大マタマタガメ等が脈絡なく登場して画面を賑わせる。
最後はなんか爆発していた。

”トカゲ特撮”の世界は奥深く、その標的は爬虫類だけにとどまらない。
『世界終末の序曲』ではバッタ、『巨大蟻の帝国』では蟻が”トカゲ特撮”で巨大化させられている。






大体の人にとっては昆虫自体が気持ち悪いので、ただ巨大化しただけでもそれなりの気色悪さはある。
ただ、『世界終末の序曲』ではビルの写真にイナゴを這わせているためビルをはみ出して空を歩いちゃっているし、『巨大蟻の帝国』に至っては1977年製作にも関わらず、恐怖演出が50年代から全く進歩していない。
ここから後16年程度で『ジュラシック・パーク』が出来るんだからすごいよなあ。
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映画と漫画に溺れつつ、それらと無縁の世界で働く哀しきリーマン。
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