狂い咲きシネマロード

哀しきアラサーリーマンの映画と漫画と愚痴。映画も漫画も古い物やマイナーなものが好き。たまに最新映画。勝新信者、渡瀬恒彦ファン。

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『殺人者はライフルを持っている!』 現実vs虚構

『殺人者はライフルを持っている!』を観た。
狂える若き射殺魔と老いた怪奇映画スターが激突するスリラー。
カタギじゃ思いつかない組み合わせだ。

制作の発端がロジャー・コーマンの無茶振りというのも驚きだが、それをここまでに仕上げるボグダノヴィッチに驚嘆。

『殺人者はライフルを持っている!』(1968)
監督 ピーター・ボグダノヴィッチ
主演 ボリス・カーロフ

殺人者はライフルを持っている! [DVD]


かつてフランケンシュタイン俳優として知られたボリス・カーロフが、ほぼ本人のような役で登場する。
ベトナム戦争やニューシネマの到来時期にあって、「もはや怪奇映画など誰も怖がらない」と自嘲する引退俳優。
(『ラスト・シューティスト』や『ハンター』、近年なら『さらば愛しのアウトロー』『ラスト・ムービースター』的な、老俳優が自分のキャリアをそのまま総括するような映画の走りなんだろうか)


対する射殺魔は、一見好青年で家族持ちであるが、物語開始時点で精神を病んでいて、ある日ライフルで家族を殺してしまう。
そのまま街中へ繰り出し、通り魔的に通行人を殺しまくっていく。
言うなれば”古き良き恐怖だった”ボリス・カーロフに対し、超現代的かつ現実的な恐怖というわけだ。
これぞ現実vs虚構。漫画『ザ・ワールド・イズ・マイン』的なものを感じてしまった。

この2人のドラマはギリギリまで交差することはなく、引退俳優の世知辛い現状と、凶弾に倒れていく人々の残酷な死体が交互に切り替わるというとんでもない構成である。
何が起こっているかも把握できないまま殺される人々の恐怖演出が生々しく、父親の死体を前に絶句する少年のシーンなんて酷すぎる。

いざ2人が激突するにあたって何かとんでもないバトルがあるわけでもないのだが、少しユーモラスな、それでいてやるせない決着が待っている。
ロジャー・コーマンの無茶振りが生んだ組み合わせとは思えない、よくできたオチだと思う。
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Author:スギノイチ
映画と漫画に溺れつつ、それらと無縁の世界で働く哀しきリーマン。
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