狂い咲きシネマロード

哀しきアラサーリーマンの映画と漫画と愚痴。映画も漫画も古い物やマイナーなものが好き。たまに最新映画。勝新信者、渡瀬恒彦ファン。

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『殺しの分け前/ポイント・ブランク』 一番の謎はリー・マーヴィンの内面にあり

『殺しの分け前/ポイント・ブランク』を観た。
かつての相棒に裏切られ妻と金を奪われた男が、やがて復讐を遂げるハードボイルド・アクションだ。

監督がジョン・ブアマンだから普通の映画ではなかろうと思っていたが、案の定だった。
筋書きはかなり単純な部類なのに、ずっと霧に包まれているような感覚がある。
これが鈴木清順の『殺しの烙印』と同年公開というのが興味深い。

『殺しの分け前/ポイント・ブランク』(1967)
監督 ジョン・ブアマン
主演 リー・マーヴィン

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普通こういうハードボイルド映画だと、物語の主導権は主人公に無く、事件の背後にある陰謀やミステリー主体で物語が進み、主人公はそれに巻き込まれる形で行動し、全貌が見えぬまま踊らされることが多い。
『三つ数えろ』や『ロング・グッドバイ』がその極北だが、そういう意味では本作は”復讐”という目的が最初から明確なので、かなりシンプルなプロットだと言える。
ところが、主人公は早々に妻を見つけたばかりか、最も憎らしい元相棒への復讐すら映画中盤で遂げてしまう。
続けて、いかにも有能そうな組織のボスもあっさり殺してしまう。
じゃあ映画後半は何をするのかというと、盗まれた大金に拘る主人公が、ワンランクぐらい下の敵幹部を相手に闘いを挑み続けていくことになる。

一応は金を取り返すという名目だが、金そのものにそこまで執着しているようには見えない。
実際、劇中では「嘘だ!金だけのためにここまでするわけがない!」と敵幹部に泣きを入れられている。
復讐を遂げても尚、過去のフラッシュバック演出が激しくなっていく。
主人公の内面が不明瞭なまま、終盤には「脚本的な」どんでん返しがある。
ただ、ここで事件の全貌が完全に明らかになったにもかかわらず、映画そのものの霧は晴れていない。
事件そのものではなく、リー・マーヴィンの内面にこそ最大の謎がある。

この幽霊的な主人公を、名優リー・マーヴィンがぬらりと演じている。
かなり荒っぽいアクションが多く身体が心配になるが、調べると当時まだ40前半。
なんという熟成。50代にしか見えない。
アンジー・ディキンソン演じるヒロインもお色気ムンムンで良いのだが、その姉である主人公の妻を演じるシャロン・アッカーも魅力的だ。
要は単なる身勝手な不倫妻なのだが、回想シーンがフランス映画風味に美しい。
残念ながら、あまり有名な映画には出ていないようだ。
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映画と漫画に溺れつつ、それらと無縁の世界で働く哀しきリーマン。
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