狂い咲きシネマロード

哀しきアラサーリーマンの映画と漫画と愚痴。映画も漫画も古い物やマイナーなものが好き。たまに最新映画。勝新信者、渡瀬恒彦ファン。

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『黒の斜面』 やはり岩下志麻には誰も勝てない

加藤剛主演のサスペンス映画『黒の斜面』を観た。
加藤剛と岩下志麻という時点でかなり期待していたが、それを裏切らない面白さだった。

『黒の斜面』(1971)
監督 貞永方久
主演 加藤剛

黒の斜面 [VHS]


会社員・加藤剛が飛行機事故に遭い、妻の岩下志麻は未亡人になってしまう。
しかし、実は加藤剛は事故当日に市原悦子と密会していて、搭乗していなかった。
死亡者名簿には他人とすり替わる形で載ってしまい、理由が理由だけに生存を名乗り出るわけにも行かず…
という筋書きのサスペンスだ。
加藤剛X岩下志麻のサスペンスというと野村芳太郎監督の大傑作『影の車』を思い出すが、あれは岩下志麻が愛人で、正妻は小川真由美だった。



それはそれで凄いことになっていたが、今回は岩下志麻が正妻で、愛人は市原悦子だ。
vs小川真由美にも負けない、市原悦子の劣等感からくる情念と執着のオーラが滲み出る。
いじましくガラスの動物を集めているのが、彼女の哀しい心情を象徴する。
それを加藤剛が割るシーンは心が傷んだ。

ただ、やはり持っていくのは岩下志麻だ。
なぜ、加藤剛がこの美貌の妻よりも市原悦子を選んだのか(失礼か)、その理由が妻の言動に細かく描かれている。
夫を心から愛しているし、悪気は全く無いのだろうが、「私の言うことは何でも聞くから好き」「浮気なんて頼んでも出来なそうだから結婚したの」等と、言葉の節々に男のプライドを傷つけるワードが多く、加藤剛からしたらマウントを取られている気分だろう。
あらゆる面で自分より上に立つ美貌の妻に疲れてしまったのだろう。
確かに妖艶だが、一緒にいると釣り合わなさに自身を失ってしまいそうではある。
「1本咥えたら全部咥えないと駄目なのよ」などと、意味の分からない理屈で加藤剛の指を咥えていく半裸が凄くエッチ。

ところが後半になるとこれらの美しさが全て反転。
扉の向こうから覗く目は並のホラー映画より遥かに怖い。
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