狂い咲きシネマロード

哀しきアラサーリーマンの映画と漫画と愚痴。映画も漫画も古い物やマイナーなものが好き。たまに最新映画。勝新信者、渡瀬恒彦ファン。

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『イグアナ/愛と野望の果て』 孤独と絶望の人生

モンテ・ヘルマンの『イグアナ/愛と野望の果て』を観た。
『コックファイター』から14年ぶりの監督作だが、当時は日本未公開だったらしい。

未公開になるのも頷けるというか、間違いなくヒットはしなかっただろう暗い内容だが、俺のようにコンプレックスのある人間には深くハマる映画でもある。

『イグアナ/愛と野望の果て』(1989)
監督 モンテ・ヘルマン
主演 エヴェレット・マッギル

Iguana [VHS]


主人公は顔にイグアナのような爛れを持つ船夫。
親からも見捨てられ、社会からもバカにされ続けてすっかり腐ってしまっていたが、漂着した無人島で王になる。

映画においてこの手の醜いキャラクターは優しい心とセットになっていることも多いが、このイグアナ男に関しては全くそんなことはなく、虐げられてきたコンプレックスを爆発させる。
(『不知火検校』や『銭ゲバ』を思い出す)
仲間同士に首を斬らせ、お嬢様(マル・バルディビエルソ)を性奴隷化し、島民達にはわざと悪意を煽るような統治を行い、やりたい放題のイグアナ男。
酷いありさまに気が滅入るが、王になってさえも島民達に憎まれ続け、誰からも愛されない姿が段々と哀れになってくる。
性奴隷が妊娠した時点では、女側からも少し情が芽生えてきたように思えるが、それを知ってか知らないふりをしているのか、身重の身体を引きずり回し、「もし赤ん坊が俺に似ていたら殺す」と告げる。

終わり方はこれ以上無いぐらい絶望的だが、ようやく救われたような気もする。
愛したことも愛されたこともなく、楽しいことが全く無い人生だったろう。
あのまま育てたところで、子供に人生を歩ませることができるだろうか。
あの選択が、彼なりの赤ん坊に対する愛のようなものだったのかもしれない。

マイケル・マドセンが右腕役として出ていて、いつもの粗野な役とは少し違った存在感を放つ。
数年後、モンテ・ヘルマンが関わっていた『レザボア・ドッグス』に出演していたが、この映画で既に縁があったんだな。
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コメント

レビュー拝見しました。やはりとんでもカルトな作品のようですね。いつか観てみたいです!
そういえば以前たまたま見たサイトにモンテ・ヘルマン映画の共通点についての面白い感想が書かれてました。登場人物の奇妙な友情関係、決して成功しない物語、尽き果てるラスト・・・・。この要素だけ聞くと観るだけで重くて苦しそうな作品に思いますけど、ヘルマン監督の独特の空気感で中和されてるんですよね。ヘルマン監督はフランスの映画監督ジャック・リヴェットに影響を受けてるようで、『シーンとシーンの間にあるものをカットしないで残す』ことをヘルマン監督が発展させた結果あの空気感が生まれるようになったようです。

Re: タイトルなし

映画好き さん
モンテヘルマン映画の共通点については、たしかにそうかも知れません。
バッドエンドといえばバッドエンドばかりですが、あまり絶望的にはならないんですよね。
この『イグアナ』も、単なるバッドエンドとは違った、希望さえ感じるような感覚が残りました。

不勉強ながらジャック・リヴェットの作品は殆ど見たことがありませんので、
いい機会ですし、これから勉強しようと思います。
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スギノイチ

Author:スギノイチ
映画と漫画に溺れつつ、それらと無縁の世界で働く哀しきリーマン。
古いものばかり愛好して時代に取り残されてます。
最後の昭和世代。
勝新太郎信者、渡瀬恒彦主義者。

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